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かんなのひとりごと

第14回 オリンピックと建築

こんにちは。もうすぐ師走だなんてびっくりですね…。
現在通っている大学は12月中旬で冬休みに入ります。
私が参加している短期のコースはそこで終了。
ということはつまり…期末に向けた課題が迫ってきています!!

 

そのうちのひとつ、ランドスケープデザインのクラスでは
「自分の出身国とロンドンの街並みや都市計画を比較してプレゼンせよ」
という課題が。
具体的なテーマは何でも良いそうなので、私はオリンピックをテーマにリサーチしている所です。

 

*2012年ロンドン・メインスタジアム

 

東京オリンピックメインスタジアムをめぐっての騒動は記憶に新しいですよね。
ではロンドンではどうだったのか?ということで、東部ストラトフォードにあるクイーンエリザベス・オリンピックパークへ。

 

こちらがメインスタジアム…こうして見ると何だか…地味?

 

地味というかとにかく簡素!
造りはもちろん装飾もあまりなく、全体に「仮設」感が漂っています。

*今年からここを本拠地にしているサッカーチーム・ウェストハムのロゴもちらりと。

 

調べてみたところ、当時の会場作りはまさにその「仮設」を目指していたのです。
運営側の政府・組織委員会にとってオリンピック開催はロンドンの宣伝、プロモーションのための手段に過ぎない。
テレビに映ってほしいのは選手たちの活躍とそのバックに見える美しい街並みであってスタジアムを前面に出す必要はない、というポリシーがあったそうです。

 

設計者はアメリカの『POPULOUS』という会社。
スポーツコンサルティング設計が多く世界中に支社があるようですが、一般的に有名ではないですよね。
ちなみにスタジアムは600億円という低価格で建てられています。
(再決定された新国立競技場の予算は約1500億円)

 

メインスタジアム以外でも、例えば馬術の会場などは鉄パイプに布をかぶせただけというような簡素なものが多かったよう。
その時だけの豪華さにお金を使うのではなくオリンピック後の発展に目を向けプロモーションの方に重点を置いた、良い意味での「割り切り」の結果なんですね。

もう一つ大事なことはメイン会場となったストラトフォードの地域性。
このあたりはロンドンで最も貧しい地域でした。
昔は製造業でもっていたものの、それが傾くにつれて失業率が上がり治安が悪化し…
当時のリビングストン市長は「この地域を再興するには五輪招致しかない」と考えたそうです。
スタジアムと同じく、目標がすごくはっきりしています。

 

現に招致決定後には新たにストラトフォード・インターナショナル駅を開業させ大規模ショッピングモールも誘致。地域の失業者を積極的に雇用しました。
今後5年間でも色々な企業の移転が決まっているそうです。

 

もちろん議論はさまざまありますが、目先のことにとらわれず20年・30年先の
街の姿を見据えてあくまで「手段」としてオリンピックを利用したのはさすがだなぁと感じます。

 

さてさて。このあたりのことを日本と比較しつつ、果たしてプレゼンはうまくいくのでしょうか?!
頑張ります…。

 

 

*余談ですが…こちらは同じ敷地内にあるザハ・ハディド設計の水泳競技場。
オリンピック終了後は改修を経て市民に安価で開放されています。

 

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