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旅とけんちく

第10回 アイスランドへの旅/建築編

さて、ここからはアイスランドの建築について。

 

まず住宅ですが…ロンドンの街並みとは全く違いました。

石造り・レンガ造りのどっしりした建物が多いロンドンに対して

アイスランドはというと、木造+ガルバリウム貼りやサイディング。

なじみのある光景が広がっています。

 

ちょっと日本っぽいですよね?

 

他のヨーロッパ諸国で感じる重厚感に比べると、良い意味で軽い印象です。

冬は北海道のような寒さだそうですが断熱ガラスの技術が進んでいて、

一見寒くないの?というような大開口の建物もよく見かけました。

(ちゃんと暖かいそうです。)

 

さらに家々の外壁は色とりどりに塗装されていて、上から見下ろすと

とても可愛らしい街並みが広がっています。

天気がいまいちなのが残念。

 

見下ろした場所はレイキャビクのシンボルタワー、ハットルグリムス教会です。

アイスランド中で一番高い建造物とのことですが、この写真を見ても

高い建物が本当に少ないことがわかりますよね。

設計は地元の建築家・グジョンサムサルソンです。

火山からマグマが流れ出し、やがて冷えゆくイメージを形にしたそう。

 

豪華絢爛ゴシック様式の多いヨーロッパの教会の中では異色ですね。

アイスランドの建物を見ていると「シンプル・機能主義・用の美」が

重視されているのかなと思います。

そのあたりも日本・特に同じ北国の北海道と共通した雰囲気を感じました。

 

さて、そんな中で唯一(?)装飾的な建物がこちら…

コンサートホールなどの複合施設・Harpa(ハルパ)です。

設計はデンマークの建築家・ヘニングラーセン。

近くに寄ると…外壁のガラスが多面体になっているのが見えるでしょうか。

全面ガラス張りですが、多面体の部分とフラットな部分を使い分けています。

中に入ると天井はキラキラ光るフラットなガラス、壁はハニカム構造のような

多面体の連続。

これ、自然編のブログでお伝えした柱状節理を表現した

ファサードとのこと。

断熱のために中間層を作っているのかな?と思ったのですが

時々人が中に入ってガラスを拭くためと聞き、さらにびっくり!

横への広がりがすごく、どこまでも続くフレームとガラスに

作るの大変そう…という平凡な感想ばかり出てきます。

当日は月曜日だったため内部は静かで、私と同じように

写真を撮る人たちがいるだけでした。

週末は様々なイベントで賑わうとのこと、

夜見たらまた綺麗だろうなぁと思います^^

 

1日しかなかったためあまりたくさんの建物は見られませんでしたが

今度は冬にもう一度行ってみたいと思います。

 

そうそう、余談ですが…

この時期は折りしもサッカーのユーロ2016開催中。

テレビ観戦していた人がたくさんいたようで、突然

「オーストリアに勝った!」というお祭り騒ぎが始まりました。

お店のご主人も店先に走り出てきてアイスランド国旗を振っています。

 

通行人もうれしそう!

この数日後にイングランドにも勝ち、「人口33万人の国が歴史的勝利」と

大騒ぎ^^ かなり盛り上がった6月のアイスランドでした。

 

第9回 アイスランドへの旅/自然編

前回から1ヵ月空いてしまいましたが、無事に帰国しています!
結局あの飛行機には乗れませんでした(+_+)
理由ははっきりわからないままでしたが、大規模なダブルブッキング
だったようです。それにしてもこういう時の対応って
日本に勝る国はないのではないかと思います。

ロンドンの空港スタッフは最後には「私のせいじゃないから聞かないで」と言っていました…。笑

 

さて、一時帰国中の今回は先月訪れたアイスランドについて。

 

(この飛行機が3時間遅れで離陸…)

 

アイスランドと言えば何を思い浮かべるでしょうか。

最近は観光地としてどんどん人気が出ているそうですが、私は正直

ビョークの出身地ということくらいしか知りませんでした。

が、訪れてみると小さな国の中にたくさん魅力が詰まっていますので

少しでもお伝えできれば…と思います。

まずは自然編から。

アイスランドにはたくさんの火山と湖が点在しています。

そのため1980年代から再生可能エネルギー政策を進め、現在では

国内電力の80%を水力・20%を地熱から得ているそうです。

(火力・原子力発電所はゼロ!)

 

好天に恵まれた2日目に自然観光スポットを巡るバスツアーに参加。

滞在していた首都レイキャビクを朝早く出発し、間欠泉で有名なゲイシールや

グトルフォスの滝を訪れました。

 

ゲイシール間欠泉。ためてためて・・・

 

どーん!! 雲と一体化しています。

 

ユネスコ世界遺産にも登録されているシングヴェトリル国立公園にも行きました。ここでは火山地帯ならではの柱状節理の岩面の間を歩いて行きます。

てっぺんからの眺め…荒々しい岩・山・湖の競演です^^

この後の建築話でも触れますが、アイスランドの風景は色々な面で北海道と共通したものを感じます。

アイスランドの人口はなんと33万人、旭川市とほぼ同じ数しかいないんです。

その人数で国を回し、世界中から注目されるエネルギー先進国として発展し…

すごいなぁと感心しきりです。

 

最後はグトルフォスの滝で〆。

バスは途中トマト農園にも停まり美味しいトマトスープを堪能し…

陽気なガイドさんの話も面白く、とても充実したツアーでした^^

 

建築編に続きます。

 

 

第8回 一時帰国・・・空港にて

このブログを書いている今現在、私はヒースロー空港ターミナル5にいます。
予定ではあと1時間でフライトですが、どうやらトラブルのようで…スーツケースとバックパックを背負い待機中です。
最悪の場合明日のフライトに変更になると言われました。

さてどうなることやら?!

 

 

こんなハプニングは旅につきもの。そう思うことにしてこれまでを振り返ってみたいと思います。
さて、私は1月から半年間の語学留学を終え日本へ一時帰国します。
思えばあっという間の6ヵ月で、楽しかったこともしんどい思いをしたこともたくさんありました。
慣れない環境でのストレス、年下ばかりの学校生活…笑
中でもやはりIELTSという英語の試験が一番の挑戦であり難関でした。

 

 

IELTSとはイギリス版TOEICのようなもので、このスコアにより大学入試に挑戦できるかが決まります。
独特の問題形式でコツがあるため、独学だとなかなかスコアが伸びません。
私は語学学校の試験対策コースを1ヵ月取り、さらに試験を2回受けてやっと目標のスコアに到達することができました。
今思い返すと大学入試以来の試験勉強はなかなかハードで、それだけに先生と分かち合った喜びはひとしおでした!
この後の進路については散々考えた結果、ロンドン芸術大学の短期コースで建築内部空間のデザインについて学ぶことになりました。
現地の学生に混じって勉強するため、果たして自分の英語力は通用するのかどうか…不安は尽きませんがとても楽しみです。

 

 

8月から通うキャンパス、チェルシーカレッジオブアートです。
さて話は変わり…ここ最近で最も注目を集めている話題がイギリスのEU離脱ではないでしょうか。
イギリス国民ではない私も正直ショックを受けました。
当日はアイスランド旅行からの帰りで空港近くのホテルに泊まっていて、夜10時頃から夜中の3時までテレビから目が離せませんでした。
こんな局面でさすがだなと思いますが、投票のライブ速報を建物にプロジェクションマッピングで映していました。

 


この写真は午前2時頃。この時点では残留はが上回っていましたが…結果は周知の通り離脱です。
たくさん報道されていますが、イギリス国内の地域によって・また年代によってくっきりと意見が分かれた結果になりました。
私のまわりのロンドン在住の人達は皆一様に落胆しています。
年配の人ほど離脱に投票した人が多かったようですが、ロンドンでは老若男女問わず「なぜだ」「これからどうなるんだ」というムードに包まれています。
どちらの結果がよかったのか、今はまだわかりません。
ただ、移民の多いロンドンに半年暮らしてみて「diversity=多様性」に寛容な所がこの国の1番良い所だと強く感じています。

 


それが今回の結果によって将来的に失われてしまうとしたら、とても悲しいし怖いことだと思います。

たまたまですがこの転換点に身近に立ち会えたことは、私にとってかなり貴重な体験でした。
…という感想を結びとして、搭乗を待ちたいと思います!
次回は日本からお送りします(^^)/

第7回 ミラノサローネ市街地編

こんにちは。先日イギリス南部の海沿いの街ブライトンへ行って来ました。
海よりも何よりも、ウォーリーの格好ではしゃぐお姉さま達に釘付けになった私です。

みんな本当に「楽しみ上手」ですよね。

 

 

さて、今回はミラノサローネ市街地編をお送りします!
こちらのイベントは前回の本展とは違い『Milano Design Week』と総称され、ミラノ市街地の既存の建物を使って多種多様なエキシビションやインスタレーションが行われます。

 

市内のイベントエリアをわかりやすく表したミラノマップ。左上のグレーの部分が前回の本展会場、黄色い部分が市内の会場がまとまっているエリアです。
私はこの中のブレラデザインディストリクト・トルトゥーナエリアを中心に回りました。

 

 

まずはこちら!オランダ発のインテリアブランド、モーイです。
今回は新製品の発表を兼ね、トルトゥーナ地区のスタジオを使い展示を行っていました。

 

 

新作のソファを天井からぶら下げています。楽しそうなイタリアンボーイ。

このブランドのコンセプトでもあるクラシックとモダンの融合があちこちで見られ、単なる高級家具とはひと味違うユニークさを楽しめました。

 

 

思いがけない充実した時間を過ごせたのがこちら、デンマークのHAYです。

 

道路から見える奥まった会場入口がワクワク感を煽ります…。

 

 

奥へ進むと植物がたくさん、車道から離れていることもあり静かで心地よい空間になっていました。

 

北欧家具好きな方には有名かと思いますが、HAYは伝統的なデンマークデザインを意識しつつも、時にポップで時に渋い現代的な要素を取り入れ、2002年の設立から急成長しているブランドです。
今回はメインの展示スペースをグラウンドレベルから数段下げ、さらにディスプレイの雰囲気によって細かく区分けする方法を取っていました。

 

 

迷路のようにあちこち進みながら自分の好きな空間を探せます。

それぞれのスペースの色使いがどれも魅力的でした。

 

 

HAYの隣で展示を行っていたのはマリメッコ。
なんと同じくフィンランドのメーカー、アルテックとコラボレーション!豪華です。

 

ファブリックや食器類・家具は言うまでもなく見応えがあったのですが、
使われている古いアパートメントの床や窓枠などが味のある引き立て役になっていました。

 

 

インスタレーションも少しご紹介したいと思います。

 

まずは建築家・田根 剛によるシチズンの『time is TIME』。

腕時計は約12万個もの部品で構成されているそうですが、それら全ての基盤となる「地板」というパーツを使ったインスタレーションです。

 

 

見る角度によっては向こう側にいる人たちの動きがまさに「時が止まった」ように見えます。
小さな地板の連続は一見ランダムなようでいて実は緻密に計算されていて、
その作業を思うと気が遠くなりました…。

 

 

そしてこちらはアパレルブランドcosと建築家・藤本壮介によるインスタレーション会場。元映画館だった建物だそうです。
cosはロンドンに来て初めて知ったスウェーデン発のブランドで、その最新コレクションにインスパイアされた『光の森』が今回のテーマです。

 

 

木々に見立てた光が明滅を繰り返しながら落とされ、四方を鏡が囲みます。
ここがかつて劇場だったことからも着想を得てスポットライトでの表現になったそうですが、その根元に座り込む人々の存在が加わることで確かに『光の森』が出現していました。

 

 

…本当はまだまだお伝えしたいのですが、長くなりましたのでこのあたりで。
長年の夢だったミラノサローネに行けたことはとても良い経験になりましたが、2日ではとても足りず…(;_;) また次の機会があることを願っています。

 

 

最後に街の印象について。
初めてのミラノは色々な意味で想像と違っていました。
同じイタリアでもローマとはまったく街並みが似ていません。
落書きが多くエリアによっては危険な印象もあり…正直な感想としてはあまり住みたいとは思わない街でした。

 

 

ですがもちろん良い所もあり、ショッピング街のガレリア・巨大な美術館のような中央駅は評判通り素晴らしかったです。
次はもう少しミラノの街の奥深さを発見できれば…と感じた旅でした。

 

 

安くて美味しかった揚げピザ、ドゥオモをバックに。

第6回 ミラノサローネ初参戦

こんにちは。今月上旬には気温が25度を超え、ロンドンも初夏の始まり…
と喜んだのも束の間、最近また肌寒く雨がちな天気に戻ってしまいました。
英語の先生いわく、「That’s London!」です。

 

さて、今回はミラノサローネレポートです!
日本でもよく雑誌などで特集されているこのイベントは長い歴史を持ち、今年で55回目を数えます。
今年は4月12日〜17日の期間で開催されていた中、土日の一般公開に合わせて向かった弾丸ミラノトリップは歩きっぱなしの2日間となりました…。

まずはじめに、サローネのメインイベントは大きく2つに分かれています。
1つは『ロー・フィエラミラノ』という本会場(東京ドーム11個分!)で各メーカーがブース毎に展示を行うもの、そしてもう1つはミラノの街中のあちこちで既存の建物を利用して行われる展示イベントです。
ここでは本会場の様子をピックアップしてお伝えしたいと思います。

 

こちらは本会場エントランス。土曜日の朝一番で行ったにもかかわらず、すでに盛況です。(後日全体の来場者数は37万人超、土日の一般入場者は4万人超と発表されていました。)

 

本会場に入ると、毎年開催の「サローネ国際家具見本市」、偶数年開催の「エウロクチーナ」、「バスルーム見本市」などジャンルごとの展示がずらり!

会場の一部を上から。実際はもっと果てしなくブースが広がっています。

全て回るには1日かけてもとても足りない規模です…。
そのため、あらかじめ外せない展示や見たいメーカー・ブランドを絞って臨みました(^_^;
キッチンを中心に見よう!と決め、いざ「エウロクチーナ」へ。

 

フェンディなどの超有名ブランドや知っている名前もちらほらある中、初耳のキッチンメーカーがたくさんありました。
それもそのはず、今回の出展社数はキッチンだけで約160社!キッチン大国イタリアの底力を感じます…。

全体的な印象としては取手は最小限、つるっとした一つの塊に見せているものが多かったです。
ただ引き出しを開けると中には照明が標準装備、収納機能もきっちり!というものがほとんど。

こちらではシェフが実演中。

 

この他にも壁埋め込みのオーブンレンジの実演には長蛇の列ができていたり、
なんともイタリアらしい光景が広がっていました^^

 

また、日本からはサンワカンパニーさんが初出展しているのを発見して少しお話もできました。
イタリアで思いがけず日本語が話せて嬉しかったです。笑
マンション用のミニマルなキッチンも展示していて、サローネの中では異色で目立っていました。

 

キッチン以外ものぞいてみると、若手デザイナーのアピールの場でもある「サローネサテリテ」では面白いインテリア小物や家具がたくさん展示されていました。
企業関係者らしき人と商談をしている人もいたり、若手にとっては絶好のチャンスのようです。

 

また、会場の一角には『Before Design:Classic』というエキシビションも。
新しいものだけじゃなくて古き良きものにも目を向けよう!というコンセプトを持ちつつ、クラシックな椅子やダイニングテーブル・食器類を一癖ある雰囲気で展示していました。

何となく幽霊屋敷のような感じですね…。

 

初サローネということでなかなか効率よく回ることができず、この辺りで歩き疲れた上に人酔いしてしまいました…。
ということで夕方前には本会場を退散して市内のデザインイベントへと向かいました。
もし次の機会があればしっかり事前予習して、そしてできれば奇数年開催の「照明見本市」と「オフィス見本市」も見たいと思います。

 

次回はミラノサローネ市内編をお送りします!